そりゃね、普段は名も知らない遠い国の誰かのポストに夢中だけど
ぼんやりカーラジオから流れる音楽はだいたいがUS TOP40のヒット曲。
ウーバーイーツで出前したスリランカカレー食べた後に、ビール片手にソファにどっかり。 ベイパーにCBD垂らして、煙り吐きながらCSつけて目立つMVだって派手な車。。。の。。。?
あれ?どうも派手な車のMV最近全然ないね?
ないんですよ、勿論K POPやEDMみたいなヨーロッパ系のヒット曲は考えずに見ても。
だって最近記録的ヒットだったコレなんか
Lil Nas X - Old Town Road (Week 17 Version) ft. Billy Ray Cyrus
これなんか、どういう状況でみんな聞いてるんだろうか風景が浮かばない。
最初の対決もマスタングならまだしも、馬vsセプタークーペかマキシマみたいな謎車
(90年代のビッグセダンなのはわかるけど、、、)
そしてビリーレイサイラス(マイリーサイラスの父ちゃん)はなんとマセラティグランカブリオで乗り付ける。えー。。。そこは、ねぇ、そこはせめてコルベットにしてよ、という気分。
どうも去年のガンビーノのThis is America以降、リアリティというか現実的な表現が増えて
一時期よりも欧州高級車も減ったけど、アメ車の殆どがこの手の中古車、というか安い車路線。
日本、というか自分が住む名古屋は車社会で非常にデトロイトちっくな所もあり音楽を聴くのが車の中ということも結構あるけど、この類のヒット曲全然映像に車がでてこない、というかカッコイイ感じの扱いじゃないからどういうシチュエーションでアメリカで聞かれてるのかわからない。。
デンガロンハットでマセラティって1番違和感の露呈、その違和感をブラックアメリカンが西部劇のような衣装で馬にまたがっているってことでイコールにするにはちょっと印象が違う。
その感じで、「これどんな層が好きなん?」というのが
Chris Brown - No Guidance (Official Video) ft. Drake
まず目に付くのがランボルギーニ・ウルスにひたすらメルセデス。。。。で、最後にちらっと弱冠ムスタングとかあるなーってくらい。ダンス対決をするクリスブラウンはブラッズの如くチームは赤で統一しているが、仲良しチームというような連帯感はない。
今のどんな層がこの雰囲気のMVでかっこいいなって思うんだ、つかクリスブラウンを。
(ドレイクはしょうがないけども)ファッションはまぁどうでもいいとして、この雑な感じはどうだ
Quality Control, Migos - Stripper Bowl
いや、もうランボにロールスって。ちょっと飽き飽きしてますね。
だってこの辺の車あきらかに「つるしで借りてる」って見た目すごいもん、こいつらのもんじゃないだろなっていうのがダサいなーって思っちゃう。
一体全体これをキッズは喜んで聞く(見る)のか?
全部ガンビーノが一旦壊したと思う。
必死で見せないようにして、例えばケンドリックラマーとかコンプトン系ならちゃんとローライダーみせたり、マイアミ系ならホッピングしまくるカスタムカーだったり。
かっこよく「おらが街のスタイルだしカルチャーだもんで」が色濃く出せた。
けどEDM以降高級車だしときゃいい、ランボもってきてー、フェラーリもってきてー
新しけりゃなんでもいいわ、ヨーロッパ車だとよりわかんなくっていいわーの応酬。
そこでガンビーノがThis Is Americaでみせる、低所得層が買うありがちな90年代初頭のビッグセダン
そこで踊る虚無、みつめる美しい彼女。中味のからっぽでゴミだらけのガレージ。
そりゃ感性の敏感なキッズは一気に目が覚めるというか、コレはコレ、それはそれって分けちゃったように思えるわけです。 アメリカンキッズのアメリカンアイデンティティ離れあるんじゃないかなって。
ビリーアイリッシュの存在も大きいとは思うけど、明らかにマッチョイズムを消したがっているように見える。そのくせ保守的なファッション、テンガロンハットやおそろいのチーム感、大量のダラーと欧州車っていう側面に今、もしかしてアメリカンチャートしんどい時期?と思う。
で、やっぱちゃんと丸出しするMVが出てきました。
ここ1年ほどの虚無流行をクギ挿すような、モロだしローライダー3連発。
YG - Go Loko ft. Tyga, Jon Z
タイトルまんまのスパニッシュギャル賛歌。
ローライダーカルチャーは移民、とりわけメキシコ移民の持ち込んだ文化で発祥はコンプトン。
YGはコンプトン出身なので久々に「おらが街のスタイル」である。
レベルファミリアと言えるようなハードギャングご近所物語よろしく、チカーノの女の子"Loco"がいっぱい登場するのも重要だ。 (YGってブラッズだからLO"K"Oって表記してる。Cは認めないから)
で、このMVでも白人カントリーマンの象徴デンガロンハットを着用し、馬を引いている。
YGと言えば『FDT (Fxxx Donald Trump)』であり、1も2も痛烈にトランプ批判をしているわけで
ギャングスタスタイルマナーよろしく敵の(保守層)スタイルを奪っていく様は正直シブい。
実際YGはブラッズだが『FDT (Fxxx Donald Trump)』でfeatされてたニプシーハッスルはクリップス。 敵対するギャング同士で手を結ぶことも出来ると証明を既にしているので、次の選挙でも一暴れは既に感じちゃうね。
自分達を虚無に陥れた落とし前を付けるが如く、そしてチカーノギャルの愛しさを礼讃し、移民政策を強化する今日この頃への攻撃といえる。 ハウスビルドでカスタムする様子が表現されており、その固い結束や友愛はある意味閉塞感あるコミュニティではあってもグッとくる。
ScHoolboy Q - Lies (feat.Ty Dolla $ign and YG) [Official Music Video]
こちらはもっと胸キュンだ。 もちろんYGも登場するスクールボーイQのMVには週末のクレンショウ大通り(ニプシーハッスルの地元)での名物クルージング、”ショウ”を思い起こさせる。
まずしょっぱなからカーシューティングで始まる映画を映すスクリーン看板からひく、その場所はドライブインシアアター。 前列からカメラはスクロールしていくがそこに止まる車はアメリカの中流によくみる普通のファミリーカー。セダンやワゴンが写って、そして後列に集まるキャディラック/デビル・ラ・カブリオレで止まる。ここでわかるのは時代が80年代と90年代と現在が混ざってて、でもソコはファミリーカーで乗り付ける免許取り立てのティーンと、ちょっと不良そうなイカす先輩が集まる場所だとすぐにわかる。
ドライブインシアアターは1970年後半から衰退していくなかで、客集めに子供向けのコンテンツより夕方からギャング映画や夜にはポルノをながす時代にはいる。
そうしてティーンが親の車でのりつけてデートしたり”不純”な事をするわけだが、そんなアメリカ人が誰でも「ああ、ガキの頃あったなぁ」と思うようなシーンがこれなのだ。
なのでリリックでも、「あの時」感がすごく滲み出ている。
どうしたんだろ、君ら。全員3人が3人ともそんなに女にしこたまやられたんだろうかw 兎に角ビッチ勘弁してくれという内容だが、結局「あの頃」のキャディラックやインパラ乗り付けて仲間と遊んで女の子に弄ばれているのと今、全然かわんねーよな、やんなっちゃうぜみたいな夏になると思い出すレイドバック青春群像、といったところだろう。
金は稼いでるから「488, yeah, with the road rage」というリリックもでる。これはフェラーリ488のことだがPVには出ない。あくまでも、自分のストンとくるスポットはここだし思い出と今を繋ぐようなことを歌ってんだから、さ。という粋な事をしているわけだ。
そして、こちらとなると超ホットだ
Lizzo - Tempo (feat. Missy Elliott) [Official Video]
グリッターディスコな"JUICE"、サザンソウルな“Cuz I Love You”と飛ぶ鳥を食い散らかす勢いの彼女、とうとうレジェンダリーアイコンと崇めるミッシーエリオットとの共演は、ミッシーのサウンドメイキングぽさがあるトラックにメガトントワークで迫力もキュートさも最高。
で、ここにもずらっとローライダーが、夜のダイナーパーキングで跳ねております。
で、こちらはスクボイQやYGと違って一般的なカスタムローライダー。
どんな州でもこの類はある楽しいビルド系です。コンプトンマナーやチカーノ系っていうより、より日本でもみるような感じかな。なのでハイドロがメインでめっちゃ跳ねてます。
この、ローライダーといえば油圧式車高調を急激に上げ下げするホッピングなわけですが、このジャンルになるとアメ車もしくは北米仕様ならどんな車でもオッケ。SUVだろうが跳ねます。
というわけで、ここに出てくる車輌もさまざま、結構お安く作れるなって思うベース車輌もあるので
ちょっと気軽なボーイズって扱いかなと思う。気軽っていうか、普通?w
少なくとも、ギャングの気むずかしい野郎ではない。
で、LIZZOはこのテンポでね、やってほしいわけよ、判る?
スロウに歌ってるよね、そこの細っこい女のためよ?ってゆってますね。
で、この気軽なwローライダーのホッピングで跳ね飛んでるのはたしかに細目の子。
結構ホットな表現だと思いますw
ミッシーも結構あけすけなセクシーワード連発系だったから、LIZZOも折角だし、そうなんでしょう
なんていうか、テメーだけ跳ね飛んで盛り上がってんじゃネー、このケツをみろ。と。
わかる、わかるわLIZZO。
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ところで、この"ホッピング"、ばいんばいーーーんって跳ねる、あれ。
素朴に、なんで跳ねるの?って思いません?
そもそもは、ローライダーって名の通りペッタペタに車高を低くするのが目的で、何故かというと
スタイルがカッコよく見えること。 これは大事。チカーノは当然ながら苦労して移民した人達なので所得が低い、けども安い中古車をコツコツとカスタムして自分だけのオリジナルにするっていうのがローライダーの起源なんだけど、 覚えてますかね?一番最初のジェームスディーンの話。 というかパナメリカーナメヒコの話。 ローライダーのルーツとも言えるレースですが、あのレースでボディの重心が下がることで運動性能も上がり、安定感が増して安いアメ車も速くかっこよく走れるというのを知らしめたわけです。余計な振動や騒音もなくなるので、後部座席での車酔いが大幅に軽減されるという隠れたメリットも生まれます。工夫の中でのチューニングカスタムだったわけですね。
で、油圧式車高調整(ハイドロ)だとエアサス(空気式)とちがってシリンダー内のオイルを注入、排出することで車高の調節するんだけど、これを急速に行うことで車体が超飛び跳ねる。
お、めっちゃおもしろ!ハネ飛び選手権やろうや!どちらにせよハイドロつけるんだし!
という凄く乗り越えれそうにない理由です。
この大会、コントロールする人は外でスイッチングしますが
たまにショウガールをのせてロデオよろしく跳ねます。
じゃじゃ馬(あばれ牛)に乗るビッチであったりロコであったりレジェンダリートワークのギャル
そんな女の子が好きでしゃーない俺ら。うん、しょーもなw
けどアメリカっぽい。
最近蔓延してた虚無の地平線のような退屈さを蹴散らすには充分かと。